●水ガラスとは
水ガラスとは、珪酸ナトリウムまたは珪酸ソーダと呼ばれており、単一の化合物ではなく、SiO2(無水珪酸)とNa2O(酸化ソーダ)がいろいろな比率で混合している液体である。
分子式はNa2O・nSiO2で表され、このnはモル比と呼ばれ、Na2OとSiO2の混合比率を表している。
水ガラスは日本工業規格(JIS K1408)では表1、2のようになっている。
ただし、現在使われている注入材料は必ずしもこのJISに従った水ガラスを使用しているわけではない。多くの注入材料は3号を使用しているが、3号よりもモル比の高いものも多く使用されている。
表1 JIS K1408に示すけい酸ナトリウムの種類 | ||||||
項目/種類 | 1号 | 2号 | 3号 | メタけい酸ナトリウム | ||
1種 | 2種 | |||||
外観 | 水あめ状の無色ないし わずかに着色した液体 |
白色粉末 または粒状 |
白色結晶 | |||
比重(15℃ B'e) | − | 54以上 | 40以上 | − | − | |
二酸化けい素(SiO2)% | 35 〜 38 | 34 〜 36 | 28 〜 30 | 27.5 〜 29 | 19 〜 22 | |
酸化ナトリウム(Na2O)% | 17 〜 19 | 14 〜 15 | 9 〜 10 | 28.5 〜 30 | 20 〜 22 | |
鉄(Fe)% | 0.03以下 | 0.03以下 | 0.02以下 | − | − | |
水不溶分% | 0.2以下 | 0.2以下 | 0.2以下 | − | − |
表2 珪酸ソーダの種類 | ||||||||
種類 | 化学名 | 分子式 | モル比 | |||||
結晶性 珪 酸 ソーダ |
オルト珪酸ソーダ |
Tetra Sodium(mono)Silicate |
2Na2O・SiO2・xH2O |
0.5 | ||||
メタ珪酸ソーダ | Di Sodium(mono)Silicate | Na2O・SiO2・xH2O | 1 | |||||
珪 酸 ソーダ 溶 液 |
珪酸ソーダ1号 |
Di Sodium Di Silicate | Na2O・2SiO2aq | 2 | ||||
珪酸ソーダ2号 | Tetra Sodium Penta Silicate | 2Na2O・5SiO2aq | 2.5 | |||||
珪酸ソーダ3号 |
Di Sodium Tri Silicate | Na2O・3SiO2aq | 3 | |||||
特殊珪酸ソーダ | − | Na2O・nSiO2aq | 1.7 〜 4 | |||||
(注)分子式のうしろにあるaqはラテン語の略で溶液を示す。 |
●水ガラスの製造と用途
1) 水ガラスの製造
水ガラスは現在多くは乾式方で製造されており、その工程は図1に示すとおりである。
図1.乾式法による製造工程システム
水ガラスの溶融工程は下記のように炭酸ソーダと硅砂を反応させてカレットと言う氷砂糖のような形をした半製品カレットを作る。
Na2CO3 + nSiO2 → Na2O・nSio2 + CO2↑
(炭酸ソーダ) (硅砂) (珪酸ソーダ) (炭酸ガス)
さらに溶解工程はそれを液状にし、所定のモル比に調整して出荷するものであり、多くのメーカーはこの工程のみである。
2) 水ガラスの用途
水ガラスは図2に示すように大変幅広い分野で利用されている。
この中でも、特に水道水の処理緩和や石けん・合成洗剤など、生活の身近で、しかも手に触れたり、口に入れたりするものにも利用されており、また紙パルプや繊維などでも使用されている安全性の高い材料である。
図2.水ガラスの用途
引用書籍 「正しい薬液注入工法 本質のわかる本」(2002年初版) (社)日本グラウト協会
●モルとは
「質量数12の炭素の12g中に含まれる原子の数(アボガドロ定数)と同数の単位粒子(原子、分子、遊離基、イオン、電子)を含む系の物質量を1モル(mol)と定義する」 『理化学辞典』(岩波書店)より
言い換えれば、物質の粒子(分子、原子、イオンなど)が6×1023(アボガドロ定数)個集まった量を1モルといいます.
1モルの分子や原子の質量はその分子の分子量または原子の原子量にg(グラム)をつけた値で、たとえば、二酸化炭素CO2分子の場合は44gです.戻る
EICネット(六価クロム)より引用
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